冷たいお茶でリラックス
農林水産省のホームページに掲載されている「茶をめぐる情勢」によりますと、健康のためにお茶を飲む方は多くペットボトルなどの緑茶飲料が人気です。ペットボトルのお茶は品ぞろえも豊富で外出先では本当に便利です。いつ飲んでも爽やかなのどごしと、どれを飲んでも安定した味わいで飽きることがありません。ただ自宅では茶葉から淹れるのがおすすめです。お茶の栄養をぎゅっと凝縮して飲むことができます。
心身の状態に合わせてお茶を飲み方を変える
急須を使って茶葉からお茶を飲むのは手間がかかります。茶器を温めたりお湯を冷ましたりなど、おいしいお茶を飲むためにはいくつかの手順が必要です。
しかし機能性を重視してお茶を摂取する場合、伝統的な飲み方にこだわる必要はありません。
気持ちを落ち着かせたいときは、
水出しのお茶を飲むのがおすすめです
お茶を水出しで飲むと、お茶のおいしさがよくわかります。
お茶の旨み成分を担うテアニンや渋みの穏やかなカテキン(エピガロカテキン)が、冷たい水でも溶け出しやすい性質を持つためです。
テアニンは「ストレス軽減」や「リラックス」など気持ちを穏やかにする作用で知られており、エピガロカテキンは腸管免疫の働きをサポートする可能性が示唆されています。腸内の健康を維持することは心身の安定にもつながります。
通常、お茶の味は①旨み成分のテアニンと②渋み成分のカテキンそして③苦み成分のカフェイン、おおよそこの3つの成分によって決まります。
それら3つの成分をバランス良く引き出すことで美味しいお茶が生まれますが、お湯の温度や浸出時間によっては、渋みの強いカテキン(エピガロカテキンガレート)やカフェインが過剰に溶け出し、その苦渋味がお茶の旨みを覆い隠してしまいます。
しかし低温の水の場合、その苦渋味の成分は溶け出しにくくなります。その結果、水出しにより作られたお茶はテアニンの旨みが際立ち、渋味や苦味が控えめな、まろやかで飲みやすい味わいになります。
水出しによりテアニンの旨みを知ることは、
おいしいお茶を見極めるのに役立ちます。
水出し緑茶の作り方でおすすめなのは、「お茶の科学」(大森正司著)という本の中で紹介されている、「お茶のフルコース」というの飲み方です。該当部分は出版社のサイトから試し読みでご覧頂けます。
まず、緑茶の茶葉10g(ティースプーン約5杯)を急須に入れます。これを冷蔵庫で冷やしておいた水を湯飲み茶碗1杯分(約100ml)入れ、待つこと15分。その後、これを最後の一滴まで濾しとると水出しのお茶ができます。まず、この味をみてください。「飲む」ではなく、口に含んで舌に広げる感じです。「お茶をたしなむ」という味わい方です。
「お茶の科学」(大森正司著)
この後に続く文章で、
100gで1000円ほどの煎茶でも、玉露のようなまろやかなお茶が味わいが楽しめる。
「お茶の科学」(大森正司著)
とあります。手に入る茶葉の種類や価格は地域によって変わると思いますが、かつて、もっと低い価格帯でも旨みを感じた茶葉がありました。
一般的に新茶以降の茶葉はカテキンが増えるため、テアニンの含有量は少なくなると思われます。しかし作られた茶畑によるのか、意外なところでおいしいお茶を発見するのも、茶葉から飲むお茶の楽しみです。